〜 接点なきサポーター 〜
44枚目の写真
壮年ベートーベン(中村倫也)が
ピアノの前に座っています。
もうすぐ、死がベートーベンをお迎えに来ることをベートーベンは感じています。
そこへ青年(シューベルト)が弟子になろうと自分の作曲した曲を持ってやってきます。
シューベルトがいくら、
ベートーベンに呼びかけても、
全く聞こえない様子です。
それが、最後に大きな声をかけた途端
ベートーベンは振り向き、
不審者と勘違いしていて、椅子を持って追いかけます。
人間とは思えない素早さで、シューベルトは逃げ帰ります。
譜面を置いたままで〜。
45枚目の写真
シューベルトの音楽♬
シューベルトが、ドミニカ(マリー)に自分の曲を弾いてあげます。
47枚目の写真
にリンクしています。
シューベルトが置いていった譜面を読みながら、とめどなく涙を流す、ベートーベン。
ベートーベンの未来へ繋ごうとしていたことが、もうすでにこんなに素晴らしい芽が出ていたのです。
死を間近にして、ベートーベンは
ショーベルトの音楽によって救われたのでしょう。
音楽は、続いています。未来へと〜
46枚目の写真
この舞台上には下手にピアノを弾くシューベルトとドミニカ(マリー)
センター(盆の中央)のピアノの前に壮年ベートーベン(中村倫也)
上手、机の前には、もう一人の壮年ベートーベン(福士誠治)です。
この上手のベートーベンが語りを担っています。
48枚目の写真
ピアノを弾くシューベルト。
*45枚目から48枚目の写真は
同じ場面の舞台上を4枚に切り取っています。
この演出、凄いですよね。
何層にもなるような厚みが深みとなって、心に印象的に残ります。
時系列的にいうと、47枚目→45.48枚目→49枚目
となるのでしょうが、一緒に舞台上で観ることによって、理解が数段上がります。
複雑なようでいて、解釈がわかりやすくなっていると思いました。
49枚目の写真
舞台ピアノ横には、3人のベートーベンが抱き合います。
この場面は、この舞台のすべての伏線回収なのかも知れません。
波乱万丈の人生、天才ゆえに苦悩の人生、聴力を失うという絶望的な経験、歪んだ愛、音楽への揺るぎない情熱と愛、
人生全てのことを受け入れたベートーベン(達)。
下手で、ドミニカ(マリー)が、ベートーベンの人生を歌います。(この場面にふさわしい澄んたきれいな伸びのある歌唱)
50枚目の写真
壮年ベートーベンは、下手のドミニカ(マリー)に軽く頭を下げます。
それを見守る、青年ベートーベンと少年ベートーベン。
でもこの仕草は、本来変なのです。
現実の時系列で考えると、ベートーベンが召される様子が(舞台センター)先で、
ドミニカ(マリー)はベートーベンが亡くなったあと、手紙を読んでベートーベンに思いを馳せているわけですね。
でもこれが、舞台の妙?!
なのでしょうか。
全く違和感がありません。
全場面同様、時系列で確実に時間差があることを同時に舞台上で表現して、しかも今回は、みせるだけでなく、時系列(時空)を超えて見せました。
たった一つの頷きなのですが、
時空さえも超えて表現しても、
違和感がないって、
凄いことだと感じました。
52枚目の写真
下手から青年ベートーベン(中村倫也)
少年ベートーベン(子役)
壮年ベートーベン(福士誠治)
がならび、自分の人生を振り返ります。
その全てを受け止めている様子です。
53枚目の写真
3人のベートーベンは、光の中へと旅立ちます。
♬人生は〜♬
ドミニカ(マリー)が歌い上げます。
51枚目の写真
実はこの場面がラストですね。
ドミニカ(マリー)が
「先生の音楽は永遠です。」
暗幕
静けさが舞台を包みます。
この時、観客も、ベートーベンが召されたことを心で受け止めて、
祈りを捧げる時間
のような余韻でした。
暗転の時間・・劇場内は静寂に包まれます。
やがて静かに明るくなります。
割れんばかりの拍手!!!!!!
*書きながら、やはり
涙が溢れてきます。
凡人の私には、大天才の頭の中などわかりませんが、中村倫也さんによって、観せて頂きました。
沢山の複雑な思いが胸の中でぐるぐるしています。
そして言えることは、ベートーベンは偉大です。そして先生の音楽は永遠です。
#中村倫也#ルードヴィヒ〜