〜接点なきサポーター 〜
ピープルの記事引用です。
Lifestyleピープル
2021.02.11
【本日映画公開!】中村倫也さんインタビュー「自分の内側にあるものを小出しにして、ミステリアスな存在であり続けたい」
映画『ファーストラヴ』に出演した中村倫也さん
「今作の監督・堤幸彦さんは、この仕事を始める前から、大ファンだったんです。僕が初めて連ドラに出演させていただいたのが、『H2』というTBSのドラマだったのですが、ドラマ・チーフの堤さんがオーディションにも立ち会っていらしたんです。第3話から登場する役をいただき、意気揚々と現場に行ったら、堤さんはいらっしゃらなくて……。2話目までしか立ち会えなかったとのことで、『話が違う!』とすごく残念に思ったのを覚えています。それが18歳の頃だったから、あれから16年――。オファーをいただき、単純に嬉しかったし、楽しみで。でも、その反面、難しい作品であり難しい役でもあったので、『俺、大丈夫だろうか?』とも思ったりして……。ワクワクと恐怖が入り混じった気持ちでした」
難しい役―― クルクルとキャラを変え、様々な役柄を演じる中村さんに、そんなふうに言わしめた今回の役どころは、実力あるイケメン弁護士ながら幼い頃に負った深い傷を心に潜ませる男。また、兄の妻が昔の恋人であるという複雑な人間関係も絡み合う。島本理生の直木賞受賞小説『ファーストラヴ』を映画化した作品だ。
「今回の役・迦葉という男にどう寄り添うかが、繊細で難しい時間でした。役作りの中、自分の内側に迦葉と同じ要素を探す作業を何度も繰り返しましたね。育った環境や家族、恋……、重ねた経験が違う中、小さな事柄を結び付けていきました。正直、しんどかった。それだけに、最初の『俺、大丈夫?』という問いの答えは不確かなままだけど、それでいい気もしているんです。言葉にできない淀のようなものを抱えたまま現場にいる、それが迦葉という男そのものだった気がするから」
中村さん演じる迦葉は、法廷では雄弁にもかかわらず、一人の男としてはなかなか素顔を見せない。そして、たくさんの役柄でたくさんのキャラを演じるだけに、中村さん自身の素顔もまた見えにくい。
「中村倫也として前に立つ時は、98%本性を隠していますね(笑)。10代の頃から、付き合っていた彼女にさえ、『何考えているかわからない』なんて言われてきましたから。それに、一癖ある役ばっかり来るんで、僕自身そういう人なんでしょうね。もう、青春まっしぐら! なんて役やったことないですから(笑)。でも、ありがたいことに、今は様々な場所で言葉を求められる立場にあるけれど、自分のタンクの中にある全て、100%を見せてしまったら、何も出てこなくなってしまうと思うんです。だから、少しずつ小出しにして、〝ミステリアス〞な存在であり続けたい、そう思っています」