〜接点なきサポーター 〜
青山を演じられるのは
中村倫也さんしかいない。
以下は記事引用です。
倫也は余人をもって代えがたい存在
4/19(月) 16:05
重層的な演技を見せる中村倫也
役者という仕事の難しさと同時に醍醐味を感じさせる出来となりそうな気配である。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏がテレビ東京の注目ドラマについて分析した。
【写真】ネギの入ったレジ袋を手に街を歩く中村倫也
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「35歳の女優なんて他にもいる。じゃあ自分が仕事をする意味って何だろう」
子育てで仕事をセーブ中の市川由衣さんが、女優を続ける理由についていろいろ悩んだ、と語る記事を見かけました。もともと何の保証もない仕事だけに、後ろ向きになってしまった時期もあった、と正直に言っていました。
たしかに役者の仕事なんて何の保証もない。「自分の代わりはどこにでもいる」と思ったとたん、不安の沼にはまる。この自問に対して、どこまで抵抗できるのか。いったいどんな自信を持てば、不安を突破できるのか。
そもそも、その人にしかできない演技なんて、あるのだろうか--と次々に湧いてくる疑問。その回答といえるようなドラマがあります。4月5日スタートの『珈琲いかがでしょう』(テレビ東京系月曜午後11時06分)。主演男優がまさしく「余人をもって代えがたい」存在であることを示しているドラマ。ちなみにテレ東の見逃し配信でも196万再生と過去最高の数字を記録したばかり。
主人公の青山一を演じているのは、中村倫也さん。舞台である「タコ珈琲」は8種類のブレンドを出す移動珈琲店で、街から街へと移っては淹れ立ての美味しい珈琲を人々に提供していく。心を癒やすような香りと味。優しくホッとできる憩いの場になる珈琲屋。
中村さんの風情に目が引き寄せられます。コーヒー豆を丁寧に挽き、ひとしずくずつ愛おしそうに淹れていく所作。指先から首の傾き加減まで、見とれとしまう。
体温の低そうなキャラから発せられる独特の声も、また沁みる。感情を抑えてちょっと鼻にかかっていて、決して押しつけがましくなく緩急を含んだ声。それは不思議な吸引力を持っていて、つい悩んでいることや自分の身の上を話してしまいたくなる。
店主の青山はさまざまなお客たちの感情を、コーヒーと引き替えに受け取って、その人の人生に何らかの影響を残してまた去っていく。
「話をさせる力」「受け止める力」が超高い青山という人物ですが、しかし彼自身はつかみどころがなくてどこか謎めいている。
という役をやれるのは、もう中村倫也以外にいない。ドラマを見ながら何度もそう実感させられてしまう。まさに「余人をもって代えがたい」ということを。
中村さん自身は原作のコナリミサトの漫画が好きだったそうですが、過度に役に似せようと意識しているわけではないようです。その一方で、「僕以外の役者が演じていたら何よりもまず僕が文句を言っていたと思うので、良かったなと思います」と自信をのぞかせる。
また、自分が青山に共感する点として「相手の自己肯定感を高める言葉が多いんですよね。それはきっと、彼の人生でいろんなことがあって、出会いや葛藤の末にたどり着いた言葉なんだと思います」 (「オリコンニュース」 2021年3月29日)と語っています。
葛藤と格闘がたくさんあった人生ほど、相手を肯定する力もまた強い。中村さん自身、仕事がなかった下積み期間も長くキツい精神状態をくぐり抜けてきた人。
「現場で『誰だこいつ』という状態から切り拓いていくのがスリリングというか、ゲリラ戦みたいな感じだった」(「同」4月15日)と振り返る過去。そうした厳しい時期も含めての人生が、そのまま役作りの糧になっていく。全て捨てゼロから役になりきれる力が、光を放つ源かもしれません。
ただ、このドラマの見所は中村さんの演技だけに留まりません。
毎回出てくるゲストがキレている。夏帆、貫地谷しほり、臼田あさ美とそれぞれのテイストを持ち寄って個性を出しきっていて爽快です。第1・2回の放送ではゲストに女優陣が目立ちましたが、今後は磯村勇斗に加えて戸次重幸、滝藤賢一、光石研……と個性の強い男優陣も次々に登場し、際立った演技を見せてくれそう。もう、役者好きにはたまらない。
一見、誠実そうで相手の話をよく聞き人の感情を受け止めてばかりの人なんているのかな、と素朴な疑問が湧いたタイミングで、青山自身の過酷な過去が紐解かれていく。そう、優しいだけの青山なんていない。「人を殺したことがある目」と指摘された青山、さあこれからどんな展開が待ち受けているのか。目が離せません。
https://news.yahoo.co.jp/articles/404d693324c8e5a3a723ecc8b1bd38bd17c11c0b