airaingood’s blog

2023年3月25日大安吉日、中村倫也さんが水卜麻美さんと結婚したことを公表しました。これからも、応援していきます。

中村倫也company〜「光の旅人第二章憎悪の交錯 完結編」

〜接点なきサポーター 〜
f:id:airaingood:20210216000838p:plain

f:id:airaingood:20210215232738j:plain


「光の旅人」



第二章 憎悪の交錯  完結編


論文を完成させ、

ようやく投稿にこぎつけて

誠一は一先ずホッとしていた。

発掘プロジェクトの方は

現地の役所関係との、

共有事項あるいは許可申請などに

手間取っているらしい。

発掘予定地の変更もあるかもしれない。


しかし、もう五月も終わりである。

本当に実現出来るのかは

不安にならざる負えない。

夏休みだからこそ、

参加できるのだが・・・。


しかし時期がずれた場合、

大学側に掛け合って見ようと思っていた。

今回のプロジェクトは、

世界でも有数の博士の集まる

グループで中々入れないのである。

そこに参加する事は

大学にとってもプラス要素になるだろう。


何故なら昔と違って、

現在では大学の数も頭打ち、

学生の絶対数の減少でどの大学も

学生の獲得に必死であるからだ。

それ故に大学側にとっては

大学のアピールポイントになる事は

大歓迎なのだ。

まぁ、その御蔭で

今回のプロジェクト参加に要する

全費用は、大学側が負担してくれる

ことになっている。



まぁそんなこんな、あったとしても

この二ヶ月間の忙しさからは

少し開放され、一段落と言ったところだ。



さて・・・

と誠一は、例の

解決方法を考えていた。

(心の声)
「生霊(イキリョウ)を静止状態に

するためには〜

怒りの感情を消すこと。」

言葉にすれば簡単な話だが、



面識のない人物に

「生霊の件で・・」

と会いに行くわけにも行かない。

そこで考えられる唯一の方法は

「量子脳理論」に基づく解決方法である。

生霊の現象は「量子もつれ」が

関わっていることと判断するならば

佐知子が加奈子に対し恨みや憎しみを

強く集中させてしまった時、

その思いは光よりも早く加奈子に到達

したはずだ。

それを量子のもつれ的には同期と

捉えて良いはずだ。


今回のことを

解決するためには、

量子もつれの法則にしたがって、

逆のことをすればよいだろう。

それを、私がやるのか・・。


と、少しの時間悩んでしまった。

人と関わりたくない自分が、

人の心の奥底の部分に

関わろうとしている。

誰に頼まれた訳でもないのに

そんなことまでやる必要はあるのか。


いや、

今は死人はまだ出ていないが、

これ以上交錯がエスカレートすれば

もっと多くの人を巻き込むかも

知れないし

死人が出ないとも限らない。


仕方が無い。

と誠一は腹を括ることにした。

しかし、

今まで誠一は「量子もつれ」を意識的に

強いエネルギーでコントロールすること

などやったことはない。

ただ理論的には出来るはずたと


「光の旅人」なのだから、

理解は出来ている。


量子もつれによって同期した状態の時、

光のプラス・マイナスをコントロール

することで意識の沈静化をはかることが

可能であると言うことだ。


それを実践するためには、

量子もつれを作り

同期をさせることである。


この場合のターゲットは、

松山佐知子である。

松山佐知子と書いて右手の人差し指で

名前をゆっくりと左から右にラインを

引くようになぞる。

(脳裏の映像)


松山佐知子が、円の中心に立っている。

離れたところに

誠一は、地上から少し浮いた状態で

立っている。


佐知子のまわりはモヤモヤと

灰色のスモークで覆われていた。

そして、身体の複数箇所で

バチバチと赤く青く光っていた。

誠一は両手を広げた。

すると太陽から注がれるように

黄金の光が、放射線状に誠一の

頭上から降り注がれた。


誠一は黄金の光に包まれた。

誠一は、

美佐子の近くにスッーっと

近づいて静止した。

それはまばゆいばかりの、

黄金の光のかたまりが、

音もなく移動したようだった。

光で包まれた誠一は両手を広げたまま

美佐子の周りを、右回りにゆっくりと回転し始めた。

1回〜2回〜3回・・

回っているうちに、

美佐子の身体を覆っていた灰色の

スモークは透明になっていく、

そして、バチバチ音を立てて光っていた

青と赤の光もどんどん消えていった。
 
4回・5回・6回〜

7回まわって静止した。

灰色のスモークは透明になっていき

光もなくなり

現象は全て消えた。

さらに8回目をゆっくりと回った。

誠一は回り終わると、

スーッと美佐子から音もなく離れた。

そこで映像は切れた。


・・・

誠一は、研究室の座り心地の良い

革張りの椅子に座っていた。

「終わった。・・・」



その日から一週間が過ぎた。


誠一はいつものように研究室の

座り心地の良い革張りの椅子に

座っていた。

夏に予定されているプロジェクトの

予定地が、変わるかも知れないと

報告が来てから、

新たな候補地を探っていた。

5カ国の教授達が、

それぞれに探しているのだから、

それが3日後にリモートミーティングで、

第2候補を決定することになっていた。


「おはよう御座います。教授!」

声がすると同時にドアか空いた。

器用に肘で開けて入ってきたのは

両手にドトールコーヒー

持った優香だった。

スタスタと入って来て誠一の隣に立った。


誠一はその時始めて優香だと

気づいて驚いた。

「えっ・・」

思わず声が出てしまった。

ようやく頭を落ち着かせて

「大丈夫なのか?」

と優香に声をかけた。

「はい!大丈夫です。 

教授、コーヒーをどうぞ。」


コーヒーを受け取って

「あ〜 有難う。」

「教授、不思議な事があったんです。

聞いてください。」

それから優香は話し始めた。

「私の怪我のことでうちのママ、

イライラしていたんです。

もの凄く怒っていて!

もう気持ちを抑えられないって

言ってました。

でも、一週間くらい前不思議な夢を

見たらしいんですけど、

それが、どういう訳か

眩しいくらいの金色の光に囲まれた教授

が現れてママの周りをぐるぐる

回ったって、  

そしたらスーッて、楽になって

気持ちが軽くなったって。」

誠一は思わず白を切った。

「私が〜」


「それが、まだあるんです。

その頃から私の後遺症の症状かどんどん

良くなって〜、本当はこんなに話しが、

出来なくて、ろれつが回らなくて、

それが、今はもう普通なんです。

昨日病院で検査してもらったんですけ

ど!もう大丈夫だろうって!

もう少し経過観察はあるみたいなんです

けど〜病院の先生も、

不思議だって言ってました。

教授は宇宙人?(笑)有難う

ございます。」


それを聞いて誠一は

「いやいや〜私には関係のないことだよ。

まぁ、でも良かったな。」


優香は、

いきなり約束を忘れてたとか

言い出して、バタバタと出ていった。


誠一は、ホッとしていた。

優香が買ってきてくれたコーヒーを

飲みながら、

「このコーヒー意外に美味しいじゃない

か」と独り言を言いながら

ニヤニヤしていた。

そんなにはっきり見えたのか!

彼女の母親は、

やはりエネルギーが強いんだな。

そのエネルギーを良いことに

使ってもらいたいものだ。



誠一には思いの外、

「有難うございます。」

の言葉は気分が良かった。


解決して本当に良かったと思いながら

美味しいコーヒーをまったりと

飲んでいた。



f:id:airaingood:20210215233011j:plain

天王寺誠一教授です。