〜接点なきサポーター 〜
:以下は記事を抜粋引用しました。
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物語にリアリティを加える中村倫也と向井理の実直な演技
たくさんのテレビドラマや映画に引っ張りだこの中村と向井は誰よりも強烈にギラギラ輝く太陽というよりはふたりそろって静かで澄んだ月の光のようだった。ふたりは激しい殺陣でぶつかり合うというよりも心理戦のスリルを盛り上げるのである(殺陣もあります)。
まず、中村は登場した時、主人公にしてはどこか控えめに筆者は感じた。中央で決めポーズをするその顔は舞台メイクがしっかり施されきりっとして主役然としているが、ものすごく技術が高く、声も動きも自在に操り圧倒的な安定感があって、安定感があり過ぎるところが落ち着いた優秀なバイプレーヤーのように見せてしまいかねなく感じてしまうというパラドキシカルなものを感じたのである。
中村倫也と向井理の実直な演技の積み重ねが生み出すリアリティーに注目 いのうえ歌舞伎『狐晴明九尾狩』
撮影/田中亜紀
そこがトリッキーなところであって、それには意味があることがあとでわかる。彼が演じる晴明は陰陽師の世界で中心に立つ役割ではない。中心に立つべき存在は利風(実際は彼になりすました野望にあふれた妖狐である)のほうなのだ。だから利風が登場する時は圧倒的に輝いている。
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