中村倫也company〜「絶賛、中村先生インタビュー」

〜接点なきサポーター 〜

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以下は記事引用です。

文・取材=望月ふみ、写真=林直幸


2021.03.19 17:00
 現在、映画にドラマ、CMにと引っ張りだこの“カメレオン俳優”中村倫也。まもなく出演作『騙し絵の牙』が公開となり、4月からは、原作コミックのイメージにぴったりだと早くから評判の主演ドラマ『珈琲いかがでしょう』がスタートする人気俳優だが、長きにわたる下積みに、誰にも必要とされていないのかとコンプレックスを抱えた時代もあったという。

 そんな中村が、雑誌『ダ・ヴィンチ』にて、まさにブレイク直後といえる2018年の11月号から2年にわたって連載してきたエッセイに、書き下ろしを加えた『THE やんごとなき雑談』(挿絵や表紙のイラスト、タイトルロゴも本人)を発売。書籍化に際し、「僕個人の生活の中で感じた本音とやらを、できるだけ丁寧に綴ってみた。つまり言い逃れのできないこれらは、恥部中の恥部だ。」とコメントしていた中村。

「俳優業」や「生きる」ことについてまで、途中、昨年の緊急事態宣言下も挟みながら、日々考え続けた2年間の頭の中身をさらけ出した本作を世に出した今の心境、中村の“表現”の先にある読者や観客への思いについて聞いた。(望月ふみ)【インタビューの最後にプレゼント企画あり】

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書くことへの挑戦で、「表現というのは、どれも豊かだ」と改めて実感


――2年間の連載を終えてみて、書くことに対してさらに興味は湧きましたか?

中村:今ですか? いや、今は休みたいです。しんどいですから(笑)。根源的には、書くことは楽しいんですよ。でも楽しむためには、やっぱりしんどくなきゃダメなんだなと思いましたね。「今月はなくていいでしょう」って何度も思いました(笑)。ほんと。だけどこうやってまとまると、それなりに感慨深さはあります。表現にはいろんなジャンルがありますが、どれも豊かだなと感じます。

――人間観察云々や日々の出来事を綴るというより、中村さんの頭の中身を本当にそのまま出された内容でユニークです。「あとがき」に「編集さんが鞭を打ってくれた」と書かれていますが、それはどういったことですか?

中村:一番流石だなと思ったのは、「注ぐ」というエッセイを書くときに、最初は流星群の話を頭に書いたんです。そこからオヤジの話に持っていったのですが、「この流星群の部分、真ん中に持ってきませんか?」と言われて、大幅に動かしたんです。そんなことしてどうなるんだろうと思いながら、移動してみたら、全く印象が違って。「すごい! こんなに変わるんだ」と。「プロだな。魔法みたいだな」とビックリしました。


――ご自身の思考を改めて文字にすることで、役者業に還元できていることはありますか?

中村:どうでしょう。自分という生き物の人生や経験してきたこと、考え方や役者という仕事をやってきたことから出てきていたものを、本として落とし込めたという意識はありますが、逆はあまり考えません。

自己満足ではなく、読んでくれる人にとって、なんらかの雑文になれば
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――もがいた時期があったことも書かれています。そうした時期があったからこその今の自分だと実感していますか?

中村:もがいていた時期に色んな事を考える癖がついちゃったから、こういう本になったんだろうなと(笑)。自分の価値観とか発想は、そうしたところから生まれていると思います。もちろん順風満帆に越したことはありませんが、そうじゃなかったら、そうじゃないことを糧にしなきゃいかんだろうと思っています。後付けで美化している部分もありますけどね。あの頃に戻りたいかと言われたら、戻りたくないですよ(苦笑)。なんとか糧にして栄養素にして、経験値に変えるということをしてきたんじゃないかと思います。

――「自意識を追い出したい」といったことも書かれていますが、読者側としては、色んな事を考えてしまう、今の中村さんのままでいて欲しいです。

中村:自分としてはすっきりしたいですよ。疲れますから。でも人のそういうのは面白いし、これがなくなったら、つまらないんだろうなとは自分でも思います。

――まさにご自身をさらけ出した本ですが、「役者さんという職業は、本人の中身をさらけ出しすぎず、ミステリアスなままでいたほうがいい」と話す人もいます。

中村:役者がエッセイを書くということに対して、謎が消えるんじゃないかとか、確かにいろんなことを考えましたし、連載の最初の頃は、すごく余計な力が入っていました。役者然としなきゃみたいな意識もあったりして。でも、だんだんと「まあ、いっか。出しても大丈夫」と思えるようになったんです。そこからじゃんじゃか書けるようになりました。

――そうした境地で書かれているからなのか、さらけ出しているのに、中村さんの醸し出す「つかめない」ミステリアスさが残ったままなのが面白いです。

中村:さらけ出し方は考えます。自分のなかで、何かしらの符合がいったんでしょうね。そこからはあまり気にせずに書いていきましたし、自分のなかにある感覚や考えを出すことに、役者だからという前置きはなくなりました。もちろん、読んでくれる人にとって、楽しいなり、考えるなり、何かもたらせることができたらいいなという思いはあります。

――やはり読者の存在は大きいですか。

中村:自己満足みたいなのは無理ですから。読んでくれる人にとって、なんらかの雑文になればいいなというのは、最初から大事にしています。

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お母さんとお兄さんとの週イチDVD鑑賞会の思い出
――ところで、好きな作家さんはいますか? たとえば無人島に1冊持っていくなら、コレという本とか。

中村:ごめんなさい、なんにもないです。僕、本を読んできていないので(笑)。この仕事を始めてからは、いろんな小説を読んだり、原作本を読んだりといった機会もありますけど、個人としてはほとんど本を読まない人間なんです。漫画ばっか読んでいる子どもです(笑)。

――では、なにか漫画を持っていくなら?

中村:うーん……。『こち亀こちら葛飾区亀有公園前派出所)』かな。全巻ごっそり(笑)。1、2巻で終わっちゃうものを持って行っても、時間を潰せないから、『こち亀』全巻で(笑)。

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――エンタメ関連ですと、エッセイの中に、お母さんとお兄さんとの週イチDVD鑑賞会のエピソードが登場します。お母さんやお兄さんの希望で観たのだけれど、すごくハマった作品は?

中村:エッセイに重なりますが、『セブン』とか『フォレスト・ガンプ/一期一会』なんかは、母が選んだものですけど、今でも見返すような作品になっています。僕自身は『名探偵コナン』とか、兄貴はガンダムとか格闘ロボット系とか、あと僕ら2人で仮面ライダーとかゴジラとかの特撮系なんかを選んでいたので、あのころ観た洋画はほとんど母のセレクトです。今、思い返すと、「母は映画が好きだったんだな」と思いますね。

――その週イチのイベントは、中村さんとお兄さんがじゃんけんをして、中村さんが勝つとレンタル屋さんへ、お兄さんが勝つとプラモデル屋さんに行くことになっていたとか。

中村:母は、きっと僕に勝ってほしいと思っていたでしょうね。


――ほとんど中村さんが勝っていたそうですが、お兄さんが勝たせてくれていたのではなく?

中村:違います。兄はいつもチョキを出すんですが、勝たせるためにとか、そんな器用なことができる兄じゃないです。プレステのゲームをするときも、兄が負けるとイライラするので、僕が負けてあげていました(笑)。たぶん、いまでもチョキを出すと思いますよ。

役者の仕事は「誰かにとっての人生の1本になる可能性がある」
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――今は映画の出演者側となり、デビューから15年を越えました。「中村さんの出演していたあの作品が、大切な1本なんです」といった後輩やスタッフに会ったことはありませんか?

中村:ないです。言われたいです(笑)。「この間やってた連ドラ見てました」みたいな挨拶はありますよ。でも「あのときのあの映画が」みたいなのはないですね。だいだい自分の代表作みたいなものもまだないですから。いつかそんなことがあったら嬉しいですけど。

――読者には、中村さんの作品が「思い入れのある大切な1本」だという人もいるかと。

中村:そういう「誰かにとっての人生の1本になる可能性がある」のが、この仕事だとは思いますね。それってとてもステキな出会いの奇跡というか。もしかしたら、今やっている作品が、誰かのそうした1本になるかもしれないと思うから、毎回頑張っている部分はあります。

――エッセイには、昨年の自粛期間中のことも登場しますが、中村さんは自粛期間中もYouTubeTwitterなどで、日々発信されていました。

中村:世の中のエンターテインメントが止まっているなかで、どんなことが自分にできて、誰も損をしないだろうか、何か生み出せるものはないかなと色々考えました。そこから、自分は普段フィクションの世界にいる人間だけれど、日常が180度変わったとき、逆に自分の日常風なものをダラダラとてらいなくさらけ出すことが、逆に非日常に、表現になるんじゃないかという思いが湧いて。絵を描いたりしたのも、自分のワールドで、誰かがクスっとしてくれればいいなとか、家にずっといることで参っているお母さんのためにも絵本を作ろうかなとか、菅田将暉から「何かやりましょう」と言われて曲を作ったりといった表現もしていきました。

――いつも中村さんの中にある、人を「ワクワクさせたい」という思いがこのときもあったのでしょうか。

中村:あの期間は、ワクワクというよりも、穏やかさを出せたらいいなと。ふとしたことで笑えたり、心地よさを覚えてもらえたり。あの頃って、というか、今もまだ続いていますが、自分自身もそうですけれど、どうしても心がささくれ立ったり、ピリつくムードがありましたよね。見えない不安が世の中全体を覆っていた。じゃあ、そうじゃないものを出そうと垂れ流していました(笑)。この本もそうですが、これが世に出ることで、役者の仕事や作品と同じように、誰かにとっての何かに、ちょっとでもなれば、少しは意義があるのかなと思っています。また書くのはしんどいですが、なんだかんだ楽しかったですね(笑)。


■書籍情報
『THE やんごとなき雑談』
著者:中村倫也
出版社:KADOKAWA
発売日:3月18日
定価:1,320円(本体1,200円+税)
公式サイト
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