中村倫也company〜「CREAの、ありがたい記事です。」

〜接点なきサポーター 〜

倫也さんの今までの歴史を感じられて、読み応えがありました。

「ヒストリーボーイズ」

「怒りを込めて振り返れ」

は本当に観たいです。

それでは、中村倫也さんのお話し

たっぷりとご堪能ください。

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中村倫也「非日常の体験を届けたかった」
コロナ禍でYouTubeを始めた理由とは?

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 5年前のことだ。『星ガ丘ワンダーランド』という映画の取材で、初めて中村倫也さんを取材した。そのさらに2年前、「ヒストリーボーイズ」という舞台を観たとき、「すごい俳優がいる」と思った。

 どちらも初主演という点では共通しているが、舞台と映画では、俳優としての印象がまるで違う。舞台では、身体の内側で絶えず青い炎を燃やしているように見えたが、映像では、その目の奥に、心の中に抱えたとてつもない孤独を映しだす。

 インタビューの冒頭で、「『星ガ丘ワンダーランド』以来の取材なんですが、あれからあれよあれよという間に……」と言いかけると、「ねぇ、売れちゃってねぇ。ハッハッハ」と照れくさそうに笑った。
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「もう『あんた誰?』って言われずに済むようになった」

――私が中村さんに最初に注目したのは、2014年の「ヒストリーボーイズ」という舞台でした。それから、17年の舞台「怒りをこめてふり返れ」でのお芝居で、「なんて魅力的な芝居をする人なんだろう!」と度肝を抜かれました。

 あら。ありがとうございます(笑)。

――映画の取材なのに、舞台の話から入ってしまって恐縮なのですが、いわゆるお茶の間に認知されて以降の中村さんのお芝居は、特に映像では、ナチュラルな軽快さや抜け感のようなものを感じています。今回の映画『ファーストラヴ』は、自分自身の抱える過去の重さも内包しながら、女性2人の哀しみを受け入れていくという複雑な役でした。中村さん自身は、もともとはすごく熱量のある人なんじゃないかと思うのですが、映像では、ちゃんと肩の力が抜けているように見えます。俳優としては、その熱量の出力をどう調整しているんですか?

 おっしゃる通り、僕が演じた迦葉という役は、感情をあまり表に出さない役です。“父親を殺してしまった”環菜の心をほぐしていく作業を、北川景子さん演じる由紀と一緒にやっていくときに、自分にまつわるいろんな厄介ごとはオブラートに包んだままにしている。

 いわゆる“受け”の芝居が多い役だったこともあって、今回はそういう出力の仕方になったのかなと思います。

「役の心情を見る人にわかってもらうためには、ここはこう見せなきゃ」とか、「これだけはやらなきゃ」とか、そういう自分の中での決めつけとか、準備段階での気負いみたいなものは、どんどんなくなってきています。

 もちろん、役によってある程度の準備が必要なものならやりますけど。

 今回の芝居で、さっきおっしゃったような“抜け感”とか“軽快さ”を感じてもらえているのだとしたら、たぶん、中村倫也という俳優が、業界的にも、お茶の間的にも、ある程度受け入れてもらえたことがデカいのかもしれない。
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© 2021「ファーストラヴ」製作委員会
 なんかね、それまでは、「入国許可証」を持たずに、エンタメ街を歩いているような感じだったんですよ(笑)。

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 下手な芝居したら、「あんた誰? ちゃんと入国許可証持ってる?」って聞かれるんじゃないかってビクビクしてた。

 でも名前が売れたら、入国許可証をいただいたようなもので、もう「あんた誰?」って言われずに済むから、ビクビクしなくていい。そういう気軽さが出るんじゃないですか。

 年々、役を全うしすぎなくていいや、と思うようになってますね(笑)。


ひねくれていた”中村倫也が昔の写真を
見てビックリ「ヤバい目をしてた…笑」
CULTURE




 映画『ファーストラヴ』で心に秘めた過去の出来事を抱えながらも、敏腕弁護士として生きる庵野迦葉役を演じた中村倫也さん。

 心が荒んでいたという思春期、成果を出さなければと思っていた無名時代、そして「真面目さの角が取れてきた」と語る現在の状況を、等身大の言葉でまっすぐに語っていただきました。

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「いろんな現場を経験したことで、変化に柔軟になっているかも」

――映画『ファーストラヴ』では、「過去が人間を作る」という台詞が印象的でした。中村さんが、「あの経験があって、今がある」と思えることは何ですか?


 うーーーーーん、なんでしょうね? (しばし無言)……まあ、「どこの馬の骨ともわからない奴」と思われていた時代……中村倫也が“なかむらりんや”と呼ばれていたような時代には、常に何か成果をあげなければいけないと思っていたんですよね。

 でも、さっきの例えでいうと、「入国許可証」がない時代って、何がよくて何が悪いか、その場で求められる芝居の正解が、現場によってことごとく違ったりするんです。

 無名の若者が突然現場入りして、芝居を成立させなければいけないことは、それはそれでやりがいがあった。

 今はコロナで、いろんな仕組みが変化しようとしている時代ですけど、役者っていうのはものすごくアナログな仕事なんです。ただセリフを覚えて現場に行って覚えてきたセリフを言う。それだけのこと。

 僕自身、いろんな立場で、いろんな現場を経験したことで、変化っていうものに柔軟にはなっているかもしれない。

 同じ現場なんて一つもないし。かつてOKだったことが別の現場では通用しなかったり、都度都度違うのが当たり前で、その中で工夫することが、自分ができるただ一つのことだった。今思えば貴重な経験でしたね。
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© 2021「ファーストラヴ」製作委員会
――2017年の舞台「怒りをこめてふり返れ」のときは、演劇好きの友人と、「次は絶対に中村倫也がくる!」ってすごく盛り上がったんです。

 そうなんですか?

――千秋楽の日、当日券売り場に長蛇の列ができていましたよね。あんな暗い時代の、偏屈なイギリス人の役で、あんなに難解な言葉をいとも容易く操っていて。わかりやすいエンターテインメントとは違いますが、「演劇を観た!」という実感と、非日常的な中のものすごい切実さが胸に迫ってきました。

 ありがとうございます。

――役者人生の目標の中には、ああいう難解な役に挑戦することも含まれていたのですか?

「怒りをこめて〜」は、1957年ぐらいに書かれた戯曲で、それを古典と言っていいのかわからないですけど、現代劇じゃない翻訳ものをやっていきたいという思いは、俳優になってからだんだんと持ち始めました。


――それはなぜですか?

 たぶん、自分がひねくれているからですね(笑)。

 この世界に足を踏み入れてから、お客として、いわゆる古典と呼ばれている舞台作品を結構たくさん観てきたんですが、シンプルに「面白かった」と思えたことが少なかったんです。

 古典を古典としてやってしまうと、僕らのような世代には、娯楽的に感じられないというか。

「怒り〜」も、用語とか時代性とか人種とか宗教とか、いろんな複雑な要素が絡み合っているんですが、僕はひねくれているので、そこに忠実にならずに、自分の感性を大事に演じたっていいじゃないかと思ったんです。

 ある意味、古典に対する最大限のリスペクトは、現代人である自分が感じたままに演じることなんじゃないかって。

 正直に言うと、自分の中でもあれは「よくやった!」と言える仕事だったんですが、演劇界の重鎮の方からは、「これは『怒りをこめて〜』じゃない」という声も聞こえてきて(苦笑)。

 でも、それに対しては、「うるせーな」と(笑)。そこで、「そうですよね」と謙遜するのではなくて、「うるせーな」と思ってしまう自分がいたので。

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 そういう反発心が自分の中にある限りは、古典の翻訳ものをやるのは意味があることなんじゃないかと思ったんですよね。
「真面目さの角も取れて、だんだん今は幼児返りしている(笑)」

――“ひねくれている”という言い方をなさっていますが。そういう自分に気づいたのはいつ?

 15歳ぐらいですかね。この間実家に帰ったときに、その頃の写真が出てきたんですけど、すごいヤバい目をしていました(笑)。自分でビックリしたんです。

「こいつには話しかけたくねーな」っていう目をしていて、「わ、ここまで心が荒んでたんだ」と思いました。

 小学6年生ぐらいまでは、今みたいな、フランクなノリで生きていたんです。それが思春期を経て、なんか色々抱え込んじゃったのか。ひねくれましたね〜(笑)。


 そこから仕事のない時代を経て、真面目さの角も取れて、だんだん今は幼児返りしているんですけど(笑)。
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――演劇人は、いい意味でひねくれている人が多いですよね。古田新太さんもいいひねくれ感がある人ですが。気が合う方だとお聞きしました。

 若い頃から、お世話になっている先輩です。11年にKAAT神奈川芸術劇場で上演された「ロッキー・ホラー・ショー」っていうミュージカルを一緒にやらせていただいて。

 当時は毎日のように飯に連れていってもらいました。古田さんはものすごいエンターティナーですよね。

――見た目は全然違うけれど、物事をズラして見る視点や、自分の筋を通しながら、置かれている状況を面白がるところは似ているように思います。

 光栄です。大先輩を捕まえて「そうですね」とは言えないです(笑)。


――山に登れば登るほど先が遠くなっていく中で、「こういうことをやりたい」というアイデアや、「もっとこうありたい」という向上心は生まれていますか?

 うーん、そうですね。この仕事をやっていると、常に潮目があるなってことは感じます。どんなオファーが来るかわからないから、「なるようになるさ」と、常に自分をニュートラルに保ちながら、自分の意見は隠し持っている感じですかね。

 結局、自分の想像の範囲内で考えられることはセルフプロデュースについてなので、そこは、自分の頭の中にいろんな目線があります。

 いうても、人前に出てやることは全て仕事ですし。色々なものを秤にかけながら、僕なりにあざとく生きていきます(笑)。


中村倫也(なかむら・ともや)

1986年生まれ。東京都出身。2005年俳優デビュー。13年『SPINNING KITE』で映画初主演。コメディからシリアスまで硬軟併せ持つ俳優として活躍。14年には初主演舞台「ヒストリーボーイズ」で第22回読売演劇大賞優秀男優賞を受賞。18年NHK連続テレビ小説半分、青い。」の朝井正人役で一躍注目され、19年、「凪のお暇」のゴン役で人気を不動のものに。同年、実写版『アラジン』の吹き替えを担当、NHK紅白歌合戦でも美声を披露した。公開待機作に、『騙し絵の牙』など。


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