〜接点なきサポーター 〜
『恋あた』最終回キスシーンに「眠れない」の声! 中村倫也の演技に興奮冷めず
カルチャー
2020年12月23日 21:00
ようやく恋が実った井上樹木(森七菜)&浅羽拓実(中村倫也) 『この恋あたためますか』第10話より (C)TBS
12月22日(火)のクリスマス目前に最終話を迎えたテレビドラマ『この恋あたためますか』(TBS系)。「今年はいろんなことがありました。 甘いものは、人を幸せにします」という放送開始当初からあるキャッチコピー通り、視聴者を幸せにする“甘〜い”キスシーンが登場し、平日の夜でありながらTwitterには「眠れない」などの声が上がるほど、興奮冷めやらぬ結末となった。(文=阿部桜子) ※本記事はネタバレを含みます。ご注意下さい
■浅羽に怒り心頭の樹木
井上樹木(森七菜)が、新谷誠(仲野太賀)の気持ちに応えようとした矢先、突然現れた浅羽拓実(中村倫也)に告白された第9話。続く、第10話は、樹木が両者に返事をせず家に帰り、デリカシーのない浅羽への愚痴を、同居人のスーちゃん(古川琴音)にぶちまけるところから始まる。
浅羽が北川里保(石橋静河)とよりを戻したときも、代表取締役を解任させられ、離れ離れになるかもしれないときも、一緒に研修に行ったときも、“好き”の気持ちを抑えきれなかった樹木。それでも、ようやく諦めが付いて、前に進もうとしたのに…。このタイミングの浅羽の登場に、樹木が怒るのも無理はない。でもこの怒りは浅羽へというよりは、真っ直ぐな心で自分を愛してくれた新谷への申し訳無さから生まれているようにも見えた。“お試し”だったとはいえ、楽しい日々を過ごしたのは変わらない。それでも、新谷は“最後”まで健気に、樹木に変わらぬ優しさを見せ続ける。
新谷誠(仲野太賀)を呼び出した井上樹木(森七菜) (C)TBS
この恋に決着を着けねばと、新谷のもとを訪れ、「まこっちゃん、話ある」と誘い出した樹木。「俺も話がある」と新谷が答え、二人はカフェにやってきた。第9話のデートシーンとは明らかに雰囲気が違い、寒色のベールに包まれているかのようだ。「例の返事なんだけど…」。樹木は、そう切り出すも、そこからが続かない。アスファルトを歩く、知らない誰かの足音だけが虚しく響いた。
そこで新谷は「“拓兄とクリスマス過ごしたい”。そう言おうとしたんだよね?」と助け舟を出す。「樹木ちゃんは渡さない」。そう硬く浅羽に宣言した新谷が、この言葉を発するのはどれだけ辛かっただろうか。
「しっかりしろよ。話があるから呼び出したんだろ? なら、ひるむなよ!」。眉間にシワを寄せながら、新谷は強く訴える。そして、「樹木ちゃんの本当の気持ち、ちゃんと聞かせて」と語った後には、いつものように優しい表情で、樹木に微笑みかけた。イチョウの雨が降る中、樹木が出した答えは「ごめんなさい」だった。
樹木の気持ちを受け止める新谷 (C)TBS
「わたし、社長が好きです…」。大粒の涙をポロポロとこぼしながらも、新谷の目を真っ直ぐ見て、樹木は“本当の気持ち”を伝える。新谷は、振られる覚悟でここに来ていたのだろう。ただ、他人の苦悩を感じ取れる、痛みに敏感な新谷だからこそ、失恋の衝撃を、すべては隠しきれなかった。「拓兄のところへ行きな」。そう言いながら、涙を1粒だけ、たった1粒だけ流すと、「泣くなよ〜」と即座に笑顔に切り替え、浅羽のもとへ送り出した。
「樹木ちゃんの幸せが、俺の幸せだから」と語る新谷 (C)TBS
「樹木ちゃんの幸せが、俺の幸せだから」。平凡な言葉、でもそれが新谷らしい。樹木を傷つけない言葉を選んだのではなく、樹木を笑顔にしたい新谷から、なんの計算もなしに出てきたような言葉だった。後に、上杉店長(飯塚悟志)が「今はまだこの人しかいないって思ってるかもしれないけど、人はまた出会っちゃうもんだから!」と新谷に声をかけてくれたのが、本当に救いだ。仲野の素晴らしい演技から、新谷派も多かった本作。人を大切にする仲間に囲まれ、新谷の痛みを感じ取れる視聴者に愛された彼は、恋愛ドラマの当て馬の中でも幸せな当て馬だったのではないだろうか。
さて、残るは樹木と浅羽がくっつくだけ。新谷に見送られた樹木は、膨らむ想いを胸いっぱいに抱えながら、大好きな人のもとへ走り出した。一方、「ココエブリィ」本社に復帰した浅羽は、オフィスで樹木のクリスマスケーキの企画書を見つける。そこには「クリスマスが嫌いな人もハッピーになれるケーキ」という文字が。以前、浅羽が樹木に、クリスマスが嫌いだと打ち明けたことを覚えていて、さらにそんな自分のためのケーキを作っていることを知ると、居ても立ってもいられず、浅羽は会社を抜けて、樹木のもとへ走り出す。
そして、ようやく川の向こう岸にお互いの姿を確認した二人。しかし、樹木は逆方向に歩く天然っぷりを見せる。「まったく…君とはいつもうまくいかないなあ」。いつもの言い合いがスタート。でも、今日は特別な日。樹木を目の前にした瞬間、浅羽は彼女を温めるようにギュッと抱きしめた。そして放ったのが、「朝起きるといつもこう思う。今日君はどんな顔をしてるかな」「いつの間にか君が俺の日常の一部になってた。好きだ」。フォンダンショコラから溶け出すトロトロのチョコレートのように甘い声で、浅羽はささやいた。
「悪いけど、社長。わたしのほうが100万倍社長のこと好きだよ」。いつもの口答えではなく、愛のある反撃だ。そして極めつけは、樹木からのキス。さらに、浅羽からも、見るものを幸せにする甘い口づけが捧げられた。
かつて、キスの達人である佐藤健は、ライブ配信アプリ「SUGAR」で、アクションシーンもキスシーンも、“左手”が重要だと語っていたことがある。刀を持つ手/頭を支える手と反対の手もキマっていないと良いシーンにはならないそうだ。それを踏まえてみると、中村のキスシーンは、唇はもちろん手の演技が官能的だった。
1度目のキスは、黒いコートから伸びる、色白でゴツゴツした手を、ゆっくりと呼吸をするように位置を変えていく。また、キスだけでなく、ソファに樹木を押し倒す場面でも、樹木の髪を耳にかけ、手の動きを止めなかった。
それに加えて、脳を直接刺激する、あのやわらかくて、優しくて、温かな声が、樹木だけでなく、視聴者の心までに熱を与えていく。スイーツのように魅惑的で甘いシーンが満載だった最終話には、Twitterからも「ど、どうしよう、余韻がすごくて全然眠れない笑」、「恋あた見たら興奮しすぎて寝れねえよお!!!!!!!」と、温まりすぎてしまったファンの声が多数見受けられた。
『この恋あたためますか』第10話より (C)TBS
新型コロナウイルスが流行し、不自由になったわたしたちの世界。人との触れ合いは減り、未来は描きにくくなってしまったけれども、そんな中でも、どこかで幸せを提供しようと奮闘している人がいるのを、本作からは改めて実感させられた。人々を幸せにするスイーツを、ラブストーリーを、そして身近な人への愛を…。ラストシーンにも登場した「甘いものは、人を幸せにします」という言葉通り、自分を幸せにしてくれるそれぞれの“甘いもの”を大切に持っておくのが、繊細な今を生き抜くコツなのかもしれない。気持ちは動いていないと腐ってしまう。こんな世の中になってしまったが、誰かのために何かをしようとする人が、まだまだ世界中に溢れていることを思えば、この世界も捨てたものじゃない。
#中村倫也#恋あた保存版