airaingood’s blog

2023年3月25日大安吉日、中村倫也さんが水卜麻美さんと結婚したことを公表しました。これからも、応援していきます。

中村倫也company〜

〜接点なきサポーター 〜

記事掲載!です。


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出会った役は「自分であり、自分ではない」存在──中村倫也が魅せるさまざまな顔

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2020年6月30日 11時55分
先日、公開を迎えた映画『水曜日が消えた』で、じつに7人もの人格を演じ分けている中村倫也

近年では役柄としての多彩な顏に加えて、“中村倫也”として露出する機会も確実に増えている。

4月の半ばから約1ヶ月半にわたり『中村さんちの自宅から。』と題したYouTube配信を行い、料理や恋愛相談でファンを魅了したかと思えば、5月下旬にはバラエティ番組『一撃解明バラエティ ひと目でわかる!!』で、初MCという大役をリモート出演で務めた。

こうした露出が増えれば、“素”の部分がいろいろと見えてきそうなものだが、不思議なことにこの男、“中村倫也”として人前に姿を見せる機会が増えれば増えるほど、本当の姿がわからなくなってくる。

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どこまでが素で、どこまでが演じているのか? 素のように見せている部分も、じつは巧妙に作られたキャラクターなのでは? そんな周囲の反応に対しても、本人はどこ吹く風。

「それでいいんじゃないですか?」

そう言って、あのなんともつかみどころのない笑みを浮かべる。

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作品がよくなるなら、自分から振り回されに行くこともある
公開中の映画『水曜日が消えた』で、中村さんは「事故の影響から、曜日ごとに異なる7人の人格を持つ主人公」を演じられました。1人7役という難役ですが、プロデューサーはキャスティングの打ち合わせの時点で「中村倫也さんしか考えられない」とおっしゃっていたそうです。

まぁ、プロデューサーという職業の人たちはみんな嘘つきですから(笑)、そう言ってくれているんじゃないかと思います。何か裏があるんじゃないでしょうか?(笑)

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最初に7役と聞いたときは「何だそれ?」と思いました。でも脚本を読んでいくと、7役あることももちろん大事ですが、あくまで彼らの日常の中で、どういう出会いや成長、変化があるのか?ということがより大事な要素で。そこを大切にやらせていただきました。


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物語は、掃除やゴミ捨てなど、面倒なことを他の6人から押し付けられがちな“火曜日”の視点を中心に展開します。そんな“火曜日”のやや損な役回りを、自分のことのように感じる観客も多いかと思いますが、中村さんご自身はいかがですか?
(“火曜日”に)共感も理解もできますけど…僕自身とは違いますね。僕は、振り回される瞬間があったとしても、最終的には自分から振り回されに行きますからね。

大事なのは結局、選択していくことなんです。仕事の話になってしまうんですが、上手に振り回されることで、チームがよくなることってあるじゃないですか。そういうときは、能動的に振り回されるようにしていますね。受け身で損な役回りを引き受けるんじゃなくて。

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カンパニーとして作品全体をよくしていくのが僕ら役者の仕事ですから、いろんな方とお仕事させてもらいますけど、僕自身、「これは損な役回りだな」と思うことって少ないですし。たとえそう感じることがあったとしても、そうした僕の役回りによって作品全体がもっとよくなるように動いていくんだ、という意識でいますね。

わかりやすく言えば、“被害者”で終わることはないです(笑)。


いろんな自分を肯定し、受け止めてくれる物語
性格から仕事、趣味まで異なる他の曜日を演じてみていかがでしたか? とくに、ちょっとオラオラな性格の“月曜日”を演じるのを楽しんでいるようにも見えましたが…。
“月曜日”は横やりを入れるタイプの役柄だったので、楽しかったですね(笑)。ただ、演じるうえではとにかく寂しかったです。共演者の方がいる日というのが単純にすごく少なかったので。「人と芝居してぇ!」って思いましたね(笑)。

他の曜日に関しては、基本的にみんなマイペースな人たちですよね。ただ、活字で書くと「こういう人」という説明になるかもしれないですけど、人間、生きているとなかなかひと言じゃ言い表せないじゃないですか。

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たとえば「どんな人ですか?」と聞かれて「明るい人です」と答えたとしても、明るい人だって悲しくて泣くこともあるわけで。みんなそれぞれ家族や友人、上司…いろんな人との関係性や、TPOの中で生きていますから。


「役」というのは僕が演じる以上、どれも僕であり、同時に僕じゃないんですけど、この映画を試写で見終わったあとに、「生きるうえで自分が持っているいろんな面」に気づく瞬間があったんですよね。

ときにはある一面に悩んだり、ときにはその一面を利用して楽をしたり…、いろんなことがあると思うんですけど、そういうことを肯定する、自分のそういうところも受け入れて生きるような、そんな豊かさを描いている作品だなと改めて感じました。
当初の予定から約1ヶ月の延期を経て、ようやく公開となりました。楽しみにされているファンの方も多いと思います。
「1人7役を演じる」という部分で、どうしても特殊な印象を受けるというか、(普通の物語とは異なる)入り方をしてしまうと思うんです。でもじつはそうじゃなくて、(それぞれの人格が)すごく親身なところに――それこそ隣の席にいるくらいの距離感になっていく作品です。感情移入する人物も共感のポイントも、見る人によって異なると思いますので、ぜひ気軽に楽しんでほしいです。

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クランクアップを迎えると、役が“旅立っていく”んです
本作の主人公は7つの人格を持っていますが、俳優という仕事は7つどころか、出会う作品・役柄の数だけ異なる人格に触れる特殊な職業ですよね。中村さんにとっては、これまで演じてきた役柄はどういった存在なのでしょうか?
うーん、そうですねぇ…先ほども少し話しましたが「自分であり、自分じゃない」存在ですかね? 距離感としては。シンパシーを得たり、自分とリンクする部分がないと演じられないものだと僕は思っているので、それを必死こいて探す作業が役作りのひとつなんでしょうね。その過程を経ているので、まさに「自分であり、自分ではない」のだと思います。
過去に演じた役柄は、自分の中のどこかに蓄積されていくんでしょうか?
役でいるのは撮影の期間中だけなので、その後はだんだん消えてなくなっていくというか…。「はい、中村倫也さん、クランクアップです。お疲れさまでした!」となったら、自分の中から旅立っていきますね。

でもその役の思い出は残っているし。逆に撮影期間中もずっと自分がその役のままでいるかというと、そういうわけでもないんですよね。その役の衣装を着て、現場に行くと出てくる“顔”というのかな…? 自分でもよくわかんないんですけど(笑)。

撮影が終わってからも役を引きずったり、役のキャラクターが自分自身と混ざって私生活に影響が出たりすることは?
それはないですね。同時進行の作品が4作を超えたら、さすがに混乱しますけど(笑)。でも3作までなら大丈夫かな。
そうやって役に影響されずに、自分自身を保つコツや意識していることがあるんでしょうか?
うまく説明できないんですけど、「いつも自分はこんな感じ」みたいなものが、どこに行ってもあるんですよ。自分のペースみたいなものはちゃんとあって、仕事で役を演じる瞬間だけ、役に切り替わっているような感じなんですよね。

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中村倫也のいろんな顔を、自由に楽しんでほしい
知名度や人気も確実にアップしていますが、そうした状況の変化や周囲の声にも引きずられることなく、確固たる自分を保っているように見えます。
基本的に自分を見失うとかもなく、変わらないですね。ただ、自分でも知らず知らずのうちに、いろんなものを背負っているなと感じることはありますよ。そういう、ある種のストレスみたいなものを自覚する瞬間はありますけど…それはまぁ、立場的にしょうがなかったりする部分もありますしね。
作品の中で役柄を演じるだけでなく、テレビ番組などに“中村倫也”として出演される機会も増えました。
そうですね。ただ、“中村倫也”として出るといっても、最近はいくつか“顔”を使い分けるようになってきていますかね。“役者の中村倫也”として出るときと、いわゆる“芸能人”風なとき、あとはどこにも出していない“素”のときかな? 屋号が違うというか、潜在意識レベルでの違いなのかもしれないですけど、棲み分けみたいなものはあって、それはこの2~3年でできてきたことだと思います。

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それぞれの顔がある中で、もちろん役者としての顔がいちばん多く世にお見せしている顔だと思います。こういう取材もそうだし、映画のプロモーションで出演するバラエティ番組のときもそうで、まず先に「役者」という立場がある。逆に、それ以外の顔に関して言えば、別にどう思われてもどう評価されてもいいから、みなさんに中村倫也を自由に楽しんでもらえれば、というスタンスですね。

本当の意味での“素”の部分というのは、別会社のような感じかなぁ?
4月半ばから所属事務所の公式YouTubeチャンネルで動画『中村さんちの自宅から。』を30本以上も投稿されていましたが、あの動画での“顔”は何と言えるでしょう? あれこそがもっとも素に近いのではと想像するファンもいれば、あれでさえも役を演じていると深読みするファンもいるかと…。

それでいいんじゃないですか(笑)。

僕自身、いまの時期に何かを発信する、アクションを起こすうえで、いろんなことを考えて、ああいう形を選択しました。自分としては“日常を垂れ流す”ということをテーマにして発信しています。
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世界がいま、ある種“非日常”のような形になってしまっていますよね。僕ら俳優はもともと、作品の中やテレビの“向こう側”で生きている非日常の存在だったわけですけど、その日常と非日常が入れ替わってしまった。それなら僕は、日常っぽいことを垂れ流すほうがいいんだろうなと思って始めたんです。
自粛要請期間中、ファンを楽しませるだけでなく、そこまで深く考えたうえで…。
きちんと考えたうえで、信念を持って行動しないとブレブレになってしまうので。そこまでお知らせする必要もないからわざわざ言わなかっただけで、見た方が自由に「すごく素のまんまの中村倫也だ!」と思って楽しむのも一興ですし、「これも考えてやっているんだろうな」と思うのもまた一興です(笑)。なんらかの形で、各々の生活の足しにしてもらえればそれでいいのかなと思っています。

中村倫也(なかむら・ともや)
1986年12月24日生まれ。東京都出身。A型。2005年にデビュー。2014年の舞台初主演作『ヒストリーボーイズ』で第22回読売演劇大賞優秀男優賞を受賞。主なドラマ出演作に『崖っぷちホテル!』(日本テレビ系)、NHK連続テレビ小説半分、青い。』、『初めて恋をした日に読む話』、『凪のお暇』(共にTBS系)など。映画出演作に『台風家族』、『屍人荘の殺人』など。4月より主演ドラマ『美食探偵 明智五郎』(日本テレビ系)が放送中。映画『人数の町』、『騙し絵の牙』の公開も控えています。