airaingood’s blog

2023年3月25日大安吉日、中村倫也さんが水卜麻美さんと結婚したことを公表しました。これからも、応援していきます。

中村倫也company〜

〜接点なきサポーター〜

孤狼の血」のインタビュー

記事です。


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*以下は記事引用しました。

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中村倫也インタビュー 『孤狼の血』の際立つ存在感の裏にある、覚悟と使命感「ニヤニヤが多いぶん、怖さみたいなものも同じだけある」


中村倫也インタビュー 『孤狼の血』の際立つ存在感の裏にある、覚悟と使命感「ニヤニヤが多いぶん、怖さみたいなものも同じだけある」
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2018年 5月1日 12:02
魅惑の音楽に乗せて「魂に焼き付く、暴力とカタルシス」と大きな文字が踊る、映画『孤狼の血』の特報が解禁されたとき、往年のヤクザ映画好きも、白石和彌監督作品ファンも、胸を熱くしたことだろう。


闇夜に照らされた男たちの彷徨は、必然的に『仁義なき戦い』シリーズで実録路線の確固たる歴史を築き上げた1970年代の東映映画を想起させる。特に大きなインパクトを残したのは、銃を片手に荒々しく襲撃へと向かう中村倫也の後ろ姿だ。肩をいからせ憮然と歩く殺気立ったさまは、混沌とした危険な昭和の香りを画面越しにむせび伝える。

疑惑や欲望が渦巻く警察と暴力団の抜き差しならない関係を、先輩刑事の大上章吾(役所広司)とバディを組むことになる日岡秀一(松坂桃李)の目線から描き出した『孤狼の血』。特報での居方しかり、中村は本作で重要な役割を担う、尾谷組の構成員・永川恭二を演じた。『日本で一番悪いやつら』で魅せた純朴な警察官から一変、鉄砲玉もいとわぬシャブまみれの暴力団員に堂々と扮した中村がインタビューで語ったのは、白石組での“覚悟”だった。
「狂犬」永川恭一への理解
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――特報で「中村さんの後ろ姿だったのか!」とわかったときの衝撃たるや、でした。

なんかわからないんですけど、いっぱい使ってくれていたんですよね。「いいの?俺、多くない?」って思いましたよ(笑)。

――あの場面では、白石監督から「台本にないけどシャブ打ちたいんだ。いい?」というオーダーがあったとか?

そうなんです。「永川は狂犬だと思います」というワードも白石さんからもらっていて。永川が生きている時代は、平成になる直前、熱を残していた時代で。その頃のヤクザの世界に、20代の永川は憧れか、夢か、何かを持って飛び込んだけど、上からブレーキをかけられるから鬱憤がたまっていた。いつの時代も若者って、ある種の狂犬たりえるのかな、と思ったんです。現代の社会で企業に勤めている若者もきっと、そう。上の人たちがやってきた成功体験を突き破りたいという想いを抱いて、いろいろやりたいことはあるけど、なかなかさせてもらえなかったりする。そういう鬱憤がたまっている若い人たちは、いっぱいいると思うんです。正しいか、間違っているかは別として、立場は違えど永川と現代の若者に通ずるところはある。それが爆発したときに、皆、狂犬というか“牙”になるんじゃないかな、と思いました。鬱憤がたまっている感じは、自分もシンパシーというか、理解できたので。あと、まっとうに育ってきて、もっともな正義感を持った同学年の日岡と、アウトローなりの正義を掲げている永川の対比ですよね。それをヒントにして役は作っていきました。



――キレキレの演技が多かったですね。

ある程度、“刺激物”でないといけない役だったので、自分の器で、この猛者たちの中にいて、そういう存在感を出すにはどうしたらいいのかな、と考えました。現場でやったら白石さんがニヤッとしたので、「いいんだな」と思って、そのままやりました。

――ニヤッと。

そうですね。基本的にはお互いニヤニヤして。白石さんも白石さんで、最初の登場シーンで「ちょっとここで耳、食ってみようか?食べたら『まずい耳じゃのう』って言ってみようか!」みたいなことをおっしゃられるから、「耳ですかあ」みたいな(笑)。いろいろと現場で作っていきましたね。こういう話ですし、あんな役ですけど、現場では非常ににこやかに耳を食べる話を、健康的な温度で一緒に作っていきました。

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――中村さんが出演されている場面は、ことさらインパクトの強いところが多いです。ご自身で「特にここ」という、お気に入りのシーンはありますか?

電話ボックスのシーンは好きですね。台本上では、日岡の「……」で終わるシーンなんです。それまでの流れだったり、日岡と永川という“同学年だけど立場も正義感も全く違う”ふたりの、永川の着地点を「……」で終わらせるには、永川はどんな人物で何を経てきたのか、といろいろ考えてやりました。それがきっかけかどうかは別として、以降、日岡も段々と変わっていきますから、丁寧に渡さないといけないシーンだな、と思っていて。自分なりの永川の感情的な決着が見つかりました。現場では、白石さんに「座り込んでやりたいんです」と言ったら、ニヤッとされたので、「いいんだな」って。もう僕が言葉にするとかではなく、シーンのまとう雰囲気で同じものが見られていたんだな、ということは、1ニヤ、2ニヤでこちらも感じるんです。

――白石監督はニヤ返しをしないときもあるんですか?

どうなんでしょう。納得がいっていないとしても、白石さんは助監督出身なので、「ここで粘ったら、これだけのお金と時間が飛ぶ」とかがわかっていらっしゃるから、そういうのは見せないですけど(笑)。でも、ニヤッとさせたいですからね。


「この作品を撮っているときは必死でした」

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――白石監督は、「倫也くんは芝居に安定感がある。ふり幅はいろいろあるが、“これ”と決めて100回芝居をさせたら、100回同じことができる。実は日本には、そんなにいないタイプ」とおっしゃっていました。今の芝居スタイルになるまで、トライ&エラーもあったんでしょうか?

どんな状況でも、どんな環境でも、どんな瞬間でも、僕はあるオーダーを超えたクオリティをつねに提供できる人がプロだ、と思うんです。全く同じ芝居をするというのは無理ですし、鮮度が保てないのでよくないと思うんですけど、一瞬一瞬が連続で動きになっているとしたら、一瞬一瞬の分解したときの分子は同じ記号でいたい。だから、見ている方には、そう違わないように見える。そういう意味で、準備の段階でも感覚的な部分だけではなく、ロジカルな部分でしっかり作って、それを現場で混ぜて、必要なものを都度やれるように、と考えてやっています。概念的な話になってくるので、どうしても言葉では伝えづらくなるんですけど。

――舞台でも、映画でも、同じメソッド(手法)で演じられるんですか?

感覚としては一緒ですけど、どちらかと言うと舞台のほうが脱線できるかもしれないです。自分で戻せばいいだけの話だったりするので。映像は、その動きだったり、そのためのいい灯りや音も、各セクションがそれに備えてフォーメーションを作るので。舞台だと、一枚の引きの画の中でどう持っていくかは、ある種、役者が芝居をしながら、映画でいう“編集”をしているので、使う機能の違いはあると思います。

――日岡の人生は、大上に会うことで変わっていきます。大上の魅力をどう感じていますか?

大上は、孤独ですよね。責任とか、使命とかを独りで抱える、荷物を背負っている男は、やっぱり魅力的だな、と思いました。しかも、それに耐えうる体力と行動力があって、結果を出していますし。ある種のヒーローとして作品の中で存在していますよね。あと、何だかんだ優しいじゃないですかf:id:airaingood:20200626074621p:plain

――中村さんにとっての大上のような存在の方は、周りにいらっしゃいますか?

仕事でだと……そうですねえ。堤真一さんは近い感じがあります。堤さんは“芸能界のおじき”的なところがあって、気にかけてくれますし、先人の言葉として、いつも刺激といい影響を背中でも見せてくれます。堤さんと、パッと浮かぶのは古田(新太)さん、阿部サダヲさん。僕が20代前半の頃に皆さんと舞台でご一緒させてもらったんですけど、そういうスターの主役を見させてもらえたのは、たまに主演とかをやらせてもらう上で、すごくでかい背中として影響を受けています。

――先輩と言えば、役所広司さん、江口洋介さんなど、たくさんのベテラン勢も『孤狼の血』には出演していらっしゃいます。

いやあ、役所さんは言葉にもできないくらい、推し量れない存在です。とにかく偉大で、でかい山で。ひたすら横にいる桃李が羨ましかったですね。あいつ、同じ事務所の後輩ですけど、「そこ、代われ」とずっと思っていました(笑)。江口さんとは、実は3回目なんです。若い頃、『トライアングル』(江口主演ドラマ)で、本当に脇役で出させてもらったのが1回目。大河ドラマ軍師官兵衛』で(織田)信長と信忠の親子をやらせてもらったのが2回目。自分が言うのも変な話ですし、江口さんに怒られるかもしれないけど……今回、あの江口さんですら張りつめて入ってこられる現場だったというか。ピンと張って、それを切らないように、切らないように。江口さんをも準備させるような作品で、役なんだというのが刺激になりました。張りつめている緊張感が、現場全体に伝わっているんじゃないかと肌で感じていました。

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――中村さんにとっても、おおいに刺激的な現場だった、と。白石組を三度経験されて、今、何が残っていますか?



関わっている人、皆が楽しそうなんです。それがひとつの答えな気がしていて。そういう現場って、いい循環というか、それがフイルムや作品に残るんですよね。自分なんかは若輩で、それでもニヤニヤしているけど、役者としても人間としてもいろいろな経験をしてきた先輩たちもニヤニヤできるのが白石組の力強さであり、頼もしさなのかな、と現場で思いました。

――ニヤニヤできるというのは、心の底から「楽しい」と感じるような状況なんですか?

ニヤニヤはしているんですけど、そのぶん、自分が楽しんでいるだけではダメなので。自分のニヤニヤを、これから先、観てくれる方々のニヤニヤにつなげるためには、繊細に、だけどこういう作品なので、大胆に作っていかないといけない。ニヤニヤが多いぶん、怖さみたいなものも同じだけあって。だから、この作品を撮っているときは必死でした。自分がやったことのないタイプの役だったということもありますし、「この作品の中で永川という人物を埋もれさせてはいけない」と、演じる身としての使命感もありましたから。永川が跳ねたら、この作品に与える影響もあると思っていたので、しっかり超えていかなきゃな、と。そういう、ちょっとした覚悟みたいなものですかね。白石さんに与えてもらった役なので、白石さんに恥をかかせるわけにもいかないし。「やってやんなきゃな!」という想いでした。

――本当に際立つ存在感だったと思います。

そう書いてください(笑)。そうしたら、自分もそんな気がしてくるから。

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映画『孤狼の血』は5月12日(土)より全国公開
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